会社員だけどオフィスには行かずに家から仕事をする業務形態、英語ではテレワーク(telework)、またはテレコミューティング(telecommunitng)といいます。この業務形態、アメリカで急成長しています。最近のデータによると、自宅からテレコミューティングをしているワーカーは2015年で37%。9%だった1995年からくらべると10年間で約4倍に成長。=米国テレワークの現状

日本では少数派の勤務形態と思われるテレコミューティング。実は自分もテレコミューティングで働いています。まわりでも家から働くって人が増えているのは事実。そもそもテレワークってどんな業務形態なのでしょうか?

 

テレコミューティングってどんな働き方?

いろいろなケースがありますが、自宅からコンピューターを使って業務するというのが大きな定義になります。

 基本的に:

会社員であるが、自宅から仕事をする。
自宅で100%の業務をするフルタイムの在宅から、週に数日自宅から働き、オフィスでも働く日のあるパートタイムの在宅勤務の2パターン

パソコンは会社から支給される場合と、個人のパソコンを使う場合がある

自宅でのテレコミュニケーション費用(インターネット、携帯電話のサービスなど)は会社が負担する場合と、個人負担の場合がある

テレコミュニケーションが大きく進化したことによってアメリカでは家から働くことを許可する会社が急増しました。うちの会社のあるシリコンバレーでも、100%在宅はまだまだ少数派ですが、週に数日自宅から働くことのできる会社はめずらしくありません。

ホワイトカラーの場合、仕事のほとんどはパソコン上で処理されているわけですから、わざわざ会社に行く必要はあまりないわけで、パソコンと会社のネットワークにアクセスできる環境さえあれば、自宅でも、スタバでも、車や電車の中でもどこからでも仕事はできるわけです。先の調査結果でも、アメリカではホワイトカラーでは半数上の55%がテレワークをしていると答えてます。 

仕事のイメージとしては、自宅からパソコンで会社のネットワークにアクセスして業務を行う感じ。メールのチェックや業務報告やプレゼンの準備、ソフトウエアのエンジニアならコードを書いたり、グラフィックデザイナーならデザインはもちろんパソコンの上で行うわけですから、自宅で十分。

会議も会議室に詰め寄って議論をしなくても、ウエブ上で有意義な話し合いをすることは十分可能です。ウエブカメラを使って会議が簡単にできるアプリケーションはたくさんあるし、プレゼンもウエブ上でスライドを見せながらのプレゼンはシリコンバレーでの主流になっていなます。もちろんバーチャルミーティングやプレゼンのデメリットもあるわけで、100%バーチャルになることはないと思います。スターウォーズでもジェダイのミーティングはバーチャルで参加しているジェダイと、実際にミーティングルームにいるジェダイがいましたよね?どんなにテクノロジーが進化しても、バーチャルではないフェイスツーフェイスのミーティングがなくなることはないでしょう。

 

日本では17%のテレワーク比

日本はどうなんだろうと思って調べてみたら、国土交通省での2014年の調査結果があって、テレワークをしている人の比率は2014年で17%。(国土交通省のテレワーク調査

ところがテレワークの定義

ふだん収入を伴う仕事を行っている人の中で、仕事でICTを利用している人かつ、自分の所属する部署のある場所以外で、ICTを利用できる環境において仕事を行う時間が1週間あたり8時間以上である人

とあるので、自宅とは限らず、例えば客先とかカフェとかで働くとか、もしかして出張も含んでいるかもしれないあやしいもの。なのでこの調査結果をアメリカのデータと比較するのは難しい。本当のところ日本のテレワーク(=自宅から働く会社員)比率ってどれくらいなんでしょうね。

 

テレコミューティング:うちの会社のケー

ちの会社は全従業員4000人以上で世界各地に事業所があります。そのうち自分の職種であるアナリストは1000人弱。自分のように100%テレワークなのはたぶん少数派だけど、全てのアナリストはテレワークを基本にした業務形態で働いくことができます。日本のオフィスでもアナリストは自宅とオフィス半々くらいで働いているはず。シリコンバレーのオフィスを例にみると、大多数は自宅から勤務。反面でほぼ毎日オフィスにきているアナリストも少数います。彼らは基本的にオフィスで働くことを好む人たちで、強制ではなくオフィスに来ることを自分で選択。オフィスへ来ることの一番の理由は、仕事とプライベートの時間をきっちり区別できるから。その他、オフィスにいるほうが仕事がはかどる、専業主婦の妻の希望でオフィスに来ているなどなど

自分の場合、いまでこそ100%の在宅勤務になっているけど、入社して最初の1年は毎日出勤する生活でした。時はドットコムブームで、シリコンバレーにあるオフィスから自宅までの通勤時間は片道で1時間半から最長で3時間。。電車やバスがないので車で通勤するのだけど、とにかく渋滞がひどい。9時に出社するためには7時には家をでて、1時間半から2時間近く渋滞の中を運転。完全に時間の無駄。しかも渋滞にじっとすわっているのってとんでもなくストレスフル

そのころから100%在宅で勤務している先輩アナリストたちはいたんだけど、新米の私には在宅勤務は夢のような生活。入社して1年たったころに上司が週に1日の自宅勤務を許可してくれて、週一で家から働く生活を数か月続け、そのうちに自宅勤務が週1日から2日を増えていって次第に会社に行くのは不定期に。勤続4年目くらいで完全在宅勤務になりました

 

会社が従業員を信頼することでテレワークは成り立

テレワークが成功するためにはいくつかの必須条件があります

実質的なことでは、会社側はITのインフラをきちんと整備すること。外部から社内のネットワークにアクセスさせるわけですから、データセキュリティの完備は必須。仕事が効率よく進むためのアプリケーションの整備も必要です。

給料形態は時給制ではなくて年棒制にすること。自宅勤務で残業を申請するのはいろいろな意味で問題がでてきます。どうやって残業を申請するのか?本当に残業しているのか。(そもそもデスクワークが主体のホワイトカラーに時給制って間違っていると思うけど、その話はまたの機会に

 従業員のほうは家で効率よく仕事ができるための環境を整えなくてはなりません。高速インターネットを家庭にもつことは基本家の中で仕事をきちんとできる場所を確保することも重要です。

 一番大切なことは、会社側が従業員を信頼できるかどうかにあると思います。会社の目がとどかないところで業務が行われるわけですから、仕事をきちんとするかどうか、というのが一番心配なことろ。自分のケースでも自宅勤務を段階的に増やしていくなかで、こいつは本当に家から仕事ができるのか?ということをテストをされていたと思うし、最終的に大丈夫という判断がでて100%在宅に以降されました。この信頼はお試し期間なしには得ることができなかったと思います。

従業員側は、家で働くからといってさぼらないこと。このリスクを避けるために、会社側は年棒制を導入することが大切なのです。年棒制にすれば、だらだら働こうが効率よく働こうが会社への費用負担は同じこと。時間をかけて働けば働くほど、従業員側の時給は減っていくわけなので、効率よく働くモティベーションが上がるわけです

会社にとってのメリットは、オフィスの縮小によるコスト削減が大きいところだけれど、テレコミューティングの最大のメリットは、従業員の働き度の満足を上げること。アナリストの離職率が極端に低い当社の場合、テレコミューティングできるとが大きく影響していると思われます転職社会のアメリカでは、離職率が高いと人件費があがります。離職率をおさえることによるコスト削減と、従業員の満足度を上げることによる業務の効率化など、テレワークの効用は多岐に渡ります。

ちなみにシリコンバレーでもテレワークを採用していない企業もあります。有名なところではグーグル、アップル、ヤフーなど。とはいっても家に仕事を持ち帰って仕事をする人たちはいます。

ヤフーはグーグル出身の現CEOになってからはテレワーク禁止になりました。理由としては社員同士のコミュニケーションが希薄になることによってよいアイデアやチームワークが生まれないということだったけど、今のことろテレワークが禁止になったことによるポジティブな結果はでてないようです。テレワークが企業の体質に合うかどうかというのもテレワークが普及するかどうかの大事なポイントですね。

 

まとめ

業種や職種によっては不可能なケースもあるテレコミューティングですが、ライフクオリティを上げるためにはとても大切な業務形態。完全在宅でなくても、週に数日在宅にするだけで生活が激変します。通勤している時間って、もちろん本やネットなどで情報を収集するなど効率よく使うことはできるけど、多くの場合はストレスフルで時間の無駄になりがち。しかもお金お払って交通手段を使っているわけですから、費用もかさみます

通勤によるストレスが減るだけでライフクオリティは上がるものです。日本でもテレワークを採用する企業が増えていくといいなと思います 



↓自宅にあるオフィス。パソコンとモニターは会社から支給されていますが、あとは個人のもの。自宅にオフィスを持つことによる個人出費はあるけれど、自宅で働くことのメリットを考えたら比べ物にならないくらいマイナーな出費!
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